「机上の空論」という言葉を無視して良いならば、今季のセリエAでいち推ししたいのはラツィオで間違いないだろう。

「イタリア代表、代表クラスを補強しているユーヴェでしょ~」

「ルイス・エンリケ率いるローマはボージャンを連れてきたぜ!」

「メクセス、タイウォ、エル・シャラウィ。ミランに決まってるじゃん」

「インテルのリカルド・アルバレスはやるぜ!」

と、いろいろな声があるとは思うが、完全に無視してラツィオを推してみたいと思う。

理由は様々あるが、ドイツ代表FWクローゼ(33歳・前バイエルン)とフランス代表FWジブリル・シセ(29歳・前パナシナイコス)の補強が強烈すぎる。空中戦を得意とし、ゴールチャンスを逃さないクローゼと、爆発的なスピードと強烈なシュートが武器のシセ。最近のラツィオには居なかったワールドクラスのストライカーの加入である。

もちろん、不安要因はある。クローゼはブンデスリーガでは8シーズン連続二桁得点を達成していたが、最近2シーズンはゴールを殆ど奪えず、「所属ドイツ代表」と揶揄されてきた。シセはパナシナイコスを退団した理由である人種差別問題が気になる。ラツィオのウルトラはイタリアでも過激な事で知られ、パフォーマンスが優れなかった場合、格好のターゲットとなってしまう恐れがある。しかし、これらを差し引いたとしても2人の実績と本来の実力は飛び抜けている。昨季まではフロッカリ、ロッキ、コザークらの中から調子が良い選手をプリマ・プンタに選んできたレヤ監督だが、クローゼとシセを優先的に起用すると見て問題ないだろう。

クローゼは既に練習試合などでも実力を発揮しているが、彼のラツィオ入りは電撃的だった。フリートランスファーになることはわかっていたが、ブンデス中堅クラスのクラブからも注目を集めており、セリエAに参戦するとは全く思っていなかったからだ。個人的な見解だが、競合ひしめく中ラツィオがクローゼを獲得できたのは、彼の出場機会をある程度保証したのではないかと考えている。EURO出場を目標とするクローゼにとっては試合勘をキープする事が一番必要であり、その環境をクローゼが要求し、ラツィオが提供したと考えても不自然ではない。若手を重視するリーグやクラブには難しい選択肢だが、30歳を過ぎたベテランであっても能力さえあれば重宝するセリエAクラブに取っては受け入れる事が可能な条件だ。もちろんクローゼの実績を買った事は言うまでもない。上記の見解は憶測に過ぎないが、クローゼのラツィオ加入は双方に取ってとても良いタイミングであった事は言うまでもない。

その他、ラツィオを推す理由として挙げたいのは選手層の分厚さ。現在トップチームに約35名の選手がいる。FWの選手層は、前述の選手の以外にサラテ、マキンワも控えており、さらにスクッリやフォッジャといったサイドアタッカーもいること考えれば、何人か移籍する可能性を考えても層の厚さは十分。またユーティリティプレーヤーに溢れており、レヤ監督が選択する可能性のある4-3-1-2、4-4-2、4-3-3、4-2-3-1などをこなせる人材が揃っている。

また、この分厚い選手層が非常に渋いメンバーで構成されている事も、ラツィオを推したくなる理由だ。前セビージャでかつてジェノアで活躍したコンコは右サイドのスペシャリストであり、ボランチや3バックのストッパーもこなす選手。ガラタサライからやってきたロリック・サナはボランチだけではなく、3バックの中央や4バックのセンターバックをこなす選手だ。元イタリア代表でレンタル移籍から戻ってきたルチアーノ・ザウリはチームの元キャプテン。今季もレンタル移籍で放出されると言われていたが、怪我人が出た事で見事ヨーロッパリーグのメンバーに選ばれている。キヴの再来としてビッグクラブも目をつけるラドゥの存在も忘れてはいけないだろう。もちろん、昨季セリエA初年度でブレイクを果たした司令塔のエルナネスは今季もクラブの浮沈の鍵を握るハズだ。

そして、個人的に最も注目しているのはカリアリから移籍してきた新守護神のマルケッティだ。2010年のワールドカップ南アフリカ大会に第2GKとして参加し、グループステージ初戦でブッフォンが負傷した事により代役として残りの2試合のゴールマウスを守った。直後の移籍マーケットではサンプドリア、アーセナル、ローマなど多くのクラブが獲得のオファーを送るもカリアリは拒絶。マルケッティが移籍を志願した事にクラブのチェッリーノ会長が激怒。第4GKという扱いで1年間干され、1試合も出場する事ができなかった。試合勘を取り戻す事が鍵となるが、本来はブッフォンの後継者の1番手に位置するべきGK。1年間の悔しい思いをピッチで表現できれば、活躍する事間違いないだろう。昨季のラツィオはセリエAで2番目に失点が少なかった。ムスレラのビッグセーブに助けられた部分も大きかったが、同じくビッグセーバーであるマルケッティの加入で穴を埋める事をできるのではないだろうか。

ディープなセリエAファンなら一晩語っても飽きない選手達が集結したラツィオ。今シーズンのおすすめクラブです。

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No. 国籍 Pos. 名前
1 Argentina GK アルバノ・ビザーリ
2 Italy DF グリエルモ・ステンダルド
3 Brazil DF アンドレ・ジアス
5 Argentina DF リオネル・スカローニ
6 Italy MF ステファーノ・マウリ
7 Italy MF ジュゼッペ・スクッリ
8 Brazil MF エルナネス
9 Italy FW トンマーゾ・ロッキ
10 Argentina FW マウロ・サラテ
11 Brazil MF マトゥザレム
14 Spain DF ハビエル・ガリード
15 Uruguay MF アルバロ・ゴンサレス
16 Italy GK アレッサンドロ・ベラルディ
17 Italy MF パスクワーレ・フォッジャ
18 Czech Republic FW リボル・コザーク
19 Bosnia and Herzegovina MF セナド・ルリッチ
20 Italy DF ジュゼッペ・ビアーヴァ
21 France DF モビド・ディアキテ
22 Italy FW セルジオ・フロッカリ
24 Italy MF クリスチャン・レデスマ
25 Germany FW ミロスラフ・クローゼ
26 Romania DF ステファン・ラドゥ
27 Albania MF ロリク・サナ
28 Nigeria FW スティーヴン・マキンワ
29 France DF アブドゥレイ・コンコ
32 Italy MF クリスティアン・ブロッキ
33 Lithuania DF マリウス・スタンケヴィチウス
39 Belgium DF ルイス・ペドロ・カヴァンダ
40 Italy DF ルカ・クレセンツィ
41 Italy MF エンリコ・ザンパ
51 Italy DF イヴァン・アルティポリ
78 Italy DF ルチアーノ・ザウリ
81 Italy MF シモーネ・デル・ネーロ
83 Italy GK フェデリコ・マルケッティ
89 Italy DF フェデリコ・チリコ
92 Italy FW トンマーゾ・チェッカレッリ
99 France FW ジブリル・シセ
窶錀 Argentina GK ファン・パブロ・カリーソ

(筆:Qoly編集部 N)

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