18日、スイス、ベラルーシの決勝トーナメント進出が決まる形で、U-21EURO2011のグループリーグAは終了したが、当グループリーグのベストイレブンを選出する方法で軽く振り返りたい。
まず、このグループリーグは、前述の通り、スイスが一位、ベラルーシが二位で予選突破を決め、三位がアイスランド、四位がデンマークという順となったが、個人的な予想は完全に外れた。当webサイトで大会前に書かせて頂いた記事内で、「この四カ国はどこも勝ち上がれる可能性がある」と“保険”はかけたものの、ホスト国のデンマーク、“黄金世代”のアイスランドが上位に入ると思っていたからだ。その考えに至ったのは、今大会のような短期決戦、さらに、あまり準備期間のない代表チーム同士の対戦ということで、「タレント力に秀でた集団にアドバンテージがある」という理由からだが、予想以上に優れたチームであったスイスに良い意味で裏切られた。いかに今大会のスイスが特筆に値するチームであったかを分析するのも面白いが、今回は、各ポジションで印象に残った選手を挙げてみようと思う。
まず、ゴールキーパー部門だが、ここはスイスの守護神ゾマーのパフォーマンスが抜きん出ていた。特に身体能力に秀でたものがあるというイメージを抱くことはなかったが、ベテランの風格すら漂わす冷静沈着なゴールキーピングとキャプテンシー、そして、身長(公称182cm)以上に強さを見せたハイボール処理や守備範囲の広さは頼もしさを感じさせてくれた。また、正確なパントキックなど、すぐに攻撃に移ろうとする、現代のGKに求められる資質も備えており、そういった面でも将来性が楽しみである。無論、ゴールキックやバックパス処理など、ミス自体はいくつかあったが、多少目をつむってでも取り上げたい選手だ。
続いてDF陣に目を移すと、まず、中央はスイスのロッシーニ、デンマークのビェランの名を挙げたい。前者は、ややスピード不足な感はあったが、体の強さと読みの鋭さでその弱点をカバー。エレガントさも匂わせるそのプレーには今後も注目していきたい。そして、後者は、現A代表のアッガーの系譜を継ぐあろうレフティー。チーム自体は三失点と評価できる成績ではなかったが、彼のフィード能力、カバーリングセンスは注目に値した。ボールホルダーに対して距離を空け過ぎる点マーカーを離す癖は改善しなくてはいけないが、これから先が楽しみだ。他にはビェランと同系統の選手で同じくレフティーのアイスランド代表のフヨルソンも気になった。彼は、ビェランよりもさらに攻撃的で、プレースキッカーとしての能力もあり、“アイスランドらしくない”センターバックと言えるだろう。
一方、サイドは、これと言って目立った選手が見当たらなかった。終始衰えぬ上下移動を見せた、スイスのコッホを右サイドバックに、左サイドで攻撃の組み立て役も担ったデンマークのポヴルセンの名を挙げたが、全体的にもう一押しが欲しかったところだ。
そして、中盤は、アンカーの位置にルステンバーガーを推したい。スイスというチームは、各選手間の距離感を保った組織的な守備を見せていたが、その守備網から漏れたところは彼が全て押さえていた印象だ。また、決して守備専業というだけではなく、展開力や視野の広さも備えていることから、今後、どのような選手へと成長するか面白い存在でもある。そして、その脇を固めるのはベラルーシの主将シヴァコウとスイスのフライ。シヴァコウは前評判も高かった選手であるが、そのスケールの大きさを改めて証明。フライは、地味な感じはあるかもしれないが、攻守両面で安定した働きを見せ、黒子的な役割を全うした。このポジションには、他にもアイスランドのシグルズソン、ヴィザルソンなど、触れておきたい選手もいるが、ここはグループリーグ突破を決めたチームから選ばせてもらった。
そして、攻撃的な位置では、やはり、シャキリを推さざるを得ないだろう。戦前では、ベン・カリファのほうが注目を集めていたが、蓋を開けてみるとスイスは彼のチームであった。圧倒的な突破力と攻撃センスで守備陣を切り裂き、グループリーグ初戦ではゴールも記録。ここまではMVP級のパフォーマンスを披露している。さらに、その対岸を務めたエメガラも面白かった。技術的には粗削りな部分もあるが、周囲を圧倒するその身体能力の高さは特筆に値。ゴール前での落ち着きが身に着けば、ストライカーとしても覚醒しそうなポテンシャルを持っている。
最後に最前線だが、ここは2試合で2得点という成果を上げたメーメディとなるか。才能豊かなデンマークのFW陣が低調に終わったこともあり、傑出した選手の登場はなかったが、メーメディの冷静さと決定力の高さは、今後スイスが更なる上昇をするためにも必要不可欠。決勝トーナメントでもゴールに期待したい。
(筆:Qoly編集部 T)