2011年5月24日(火) - プリンス・アブドゥラ・アル・ファイサル・スタジアム(ジッダ)
Al-Ittihad
3
2-0
1-1
1
Al-Hilal
ヌーノ・アシス
ジアヤ
ヌーノ・アシス
15'
17'
59'
得点者
82'


アル・ドサリ




ACLベスト16、日本で大阪ダービーが行われた一方で、中東ではサウジアラビアのナショナルダービーが実現した。そしてその結果はと言えば、10/11シーズンを圧倒的な強さで制したアル・ヒラルに対し、アル・イティハドがホームで圧倒的な力の差を見せつけ大勝を収めることとなった。

実力では拮抗しているといえる両チームの運命を分けたのは、「チーム戦術の完成度」であった。その点でアル・イティハドは大きく上回っていた。

4+4のブロックを形成して堅実に守り、ボールを奪えばジアヤ、ヌールに必ず縦パスを入れる。前にボールが収まると同時に周囲が動き出し、スペースに飛び出していく。一旦始まれば、意思が連動してスピードが落ちないままゴールに迫っていく鮮やかな連携であった。

その結果15分には左サイドに流れてボールを収めたジアヤを基点に、中央へのパスをヌールがキープ、DFが引きつけられて生まれた中央のスペースにヌーノ・アシスが飛び出して先制点を奪取。その直後にもカウンターから、縦パスをヌールが収めて右に展開、ヌーノ・アシスからの素早いアーリークロスに反応したジアヤが飛び出してヘディング。あっという間に2点を叩き出した。

リードした後は守備的になり、攻撃参加のスピードは落ちた。しかし後半始まって14分、貴重なチャンスをものにして3点目を奪取する。ジアヤがフォアチェックでボールを奪い、右に展開。ヌールがサポートのない中で数秒間キープして時間を作り、遅れて裏に飛び出していったヌーノ・アシスに決定的な浮き球を通した。さらにヌーノ・アシスも前に出てくるGKが近い状態から鮮やかなループシュートを放ち、冷静にゴールを陥れた。

一方のアル・ヒラルはといえば、リーグ優勝で燃え尽きてしまったのかと思わせるような低調な出来であった。元々彼らは比較的ポゼッション指向のチームであり、中盤の選手のテクニックとパスワーク、ドリブルによって崩すプレーが得意である。

しかし今日は運動量が乏しく、二列目にボールが収まってもその次の展開を作れない場面が目立った。結果として得点を取ることに専念し他からのお膳立てを待っているエースのヤセル・アル・カフタニが、完全に連携の中から消えてしまった。攻撃の決め手を失ったチームは、中盤で誰かがボールを受けて繋ぐ先を探している間にプレスを受けて奪われ、カウンターを受けるという流れを繰り返した。

後半になって、アハメド・アリを投入して2トップにし前線にターゲットを増やした上に、ボランチにアル・シャルフーブを移してプレッシャーの少ない位置からパスを供給する、という手段を取った。しかし運動量の少なさは如何ともし難く、ディフェンス面の緩さも目立っていた。

終盤にはアル・イティハドが守りを重視し引きこもったため反撃のチャンスを得たものの、82分に途中出場のアル・ドサリが見事なループシュートを決めたのみで反撃は終了。国内リーグで叩きのめしたアル・イティハドを相手に屈辱の敗北を喫した。


(筆:Qoly編集部 K)


【厳選Qoly】インドネシアの帰化候補「150人超」に対し…帰化して日本代表になった7名