かつて世界中から代表クラスの選手がJリーグに当たり前のようにやってきた時代があり、その頃はJリーグのクラブに所属しながら各国の代表チームに招集されるケースが多々あった。来日後にもセレソンに名を連ね続けた、ジュビロ磐田のドゥンガ、横浜フリューゲルスのサーザル・サンパイオなどがそうである。

だが、それから時は流れ、今やその形は極稀となった。韓国代表や北朝鮮代表、またはオーストラリア代表のようなアジア・オセアニア地域の代表チームにJリーグから選手を供給することはあるが、残念なことに前述のようなブラジル代表クラスの選手はこの国には存在はしない。

しかし、少し格好は違うが、過去にJリーグを経験し、国内リーグに戻ってから再評価を受け、そして、セレソン入りを果たそうとしている選手は今もなおいる。

2007年8月のこと、クルゼイロからジュビロ磐田に加入したのがエンリケであった。しかし、シーズン後半戦からの参加とはいえ、本領を発揮したとは言い辛い出来に終始。当時、チームが不振を極めていたという要因もあったが、リーグ戦13試合に“出場しただけ”だった。その後はクルゼイロへ期限付き移籍で戻り、翌シーズンには完全移籍でジュビロと関係を終わらせるのだが、母国に戻ってからは息を吹き返したかのようなパフォーマンスを披露。2009年のコパリベルタドーレス決勝では、ベロン擁するエストゥディアンテスに敗れはしたが、その試合で先制点を奪うなど、攻守において見せ場を作った。そして、着実にキャリアを重ねたエンリケは、2011年3月、ブラジルA代表に晴れて選出されたのである。

「何故、ブラジル代表クラスとなる可能性があった選手を安易に手放してまったのだろうか・・・」と、ジュビロ磐田のフロントが下した判断を指摘するものもいるかもしれない。だが、当時の彼のプレーぶりを知るものからすれば、この栄転は予測不可能な結末だったはずだ。

サッカー選手の未来を読むことは極めて難しい。それだけに奥が深い。

クルゼイロではこんなロングシュートも・・・

(筆:Qoly編集部 T)

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