2010年のワールドカップに続き、2011年アジアカップの公式サイト(http://www.the-afc.com/en/tournaments/men-a-youth/afc-asian-cup)が充実している。昨年のワールドカップの時にも度々扱われた人気のデータである、チーム総走行距離などの数値もより見やすくよりわかりやすくみることができる。

チーム名 チーム総走行距離 チーム別最高走行選手 チーム別最高平均速度選手
サウジアラビア
100km
10.25km(ハリリ)
7.8km/h(Ab・アテーフ)
シリア
107km
11.12km(アル=フセイン)
8.6km/h(アワド)
ヨルダン
103km
10.67km(アブドゥル=ファター)
7.6km/h(ディーブ)
日本
105km
11.12km(香川)
7.9km/h(前田)
カタール
103km
10.47km(リジク)
7.9km/h(Y・アフメド)
ウズベキスタン
107km
11.56km(ジェパロフ)
11.1km/h(ナヴカロフ)
クウェート
98km
10.49km(アル=アメル)
8.2km/h(H・アル=エネジ)
中国
111km
11.58km(デン・シュオシャン)
7.9km/h(ユ・タオ)
韓国
106km
10.59km(キ・ソンヨン)
7.7km/h(ク・ジャチョル)
バーレーン
104km
10.84km(アイシュ)
7.4km/h(アイシュ)
インド
118km
12.53km(ローレンス)
9.1km/h(R・シンハ)
オーストラリア
115km
11.46km(ウィルクシャー)
8km/h(ジェディナク)
イラク
102km
10.9km(アクラム)
7.5km/h(アクラム)
イラン
105km
11.1km(テイムリアン)
7.5km/h(テイムリアン)
北朝鮮
112km
11.93km(リャン・ヨンギ)
7.7km/h(チェ・ミョンホ 他1名)
UAE
110km
11.76km(ジャベル)
8.8km/h(アル=シェヒ)

※赤文字は各部門の一位

上記の表を見てみると、チーム総走行距離では、全体的に中東が短めの傾向を示しているが、これは世間的な印象と一致していると言えるだろう。気候や宗教上の理由から後半戦に運動量が落ちてくるという通説が実証された形だ。

さて、世界の舞台でもその高い運動量を評価された我らが日本代表だが、ヨルダンとの試合での走行距離は全体で105km、チームトップの香川選手が11km以上を走行しているものの決して高くはない値となった。ちなみに、No.1データを示しているのはまさかのインドで、11km前後の走行距離を持つ選手を複数抱え、特にMFローレンスの走行距離は12. 53kmとぶっちぎりだ。同じく、外国から「スピードがある」と評される日本人だが、最高平均速度においてもあまり高い値を出せていない。こちらのダントツはウズベキスタンの途中交代で入った選手であるが、途中交代で入って全力でプレーしたらたまたま1位になってしまった格好だ。

日本ではこうしたデータで高い値がついたり、外国から賞賛されるコメントがでると「世界にもひけをとらない。日本はレベルが高いのだ」と、どうしても喜びたくなるものだが、データは試合を見た上での“つまみ”にはなれど、それだけを材料にした比較や優劣は成り立たないと感じる。今回のデータを元にあえてうがった見方をすれば、インド代表は世界でも有数の運動量を持つチームと言えるし、ウズベキスタンはスピードのあるチームと言えてしまう。そう言われたところで、一体誰が信じるだろうか。このような類の数値をサッカーゲーム内のデータを修正する際の材料や記事のネタにすることは問題ないだろうが、数値に囚われた見識は方向を見失うものだ。簡単にデータが手に入るデジタル世代に生まれた人間であるからこそ、その取り扱い方には十分に注意していきたい。まぁ、数字を見るのって楽しいんだけどね。

(筆:Qoly編集部 Q)



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