2011年1月9日(日) - アル=ラーヤン・スタジアム
1
0-1
1-1
2
アル=ジャサム

60'

得点者
38'
63'
A・アル=フセイン
A・アル=フセイン

グループBの最初の試合は有利と言われていた日本が引き分けに終わる波乱が起こった。そして続いて行われたこの試合でも、優勝候補のサウジアラビアがシリアに敗戦。カタールは大荒れの1日となった。

試合の流れを終始コントロールしたのも勝利したシリア。決して引き過ぎず、しかし攻め過ぎず、バランスの良いポジション取りで守備を固め、カウンターを狙う。ボールは持たせてある程度相手に攻めさせるが、集中力を保ってアル=カフタニとアル=シャムラニの個人技を警戒し、大事なところは確実に締めていた。そして38分、カウンターからスローインを奪いリスタート。右サイドからのクロスボールが一度クリアされたところにA・アル=フセインが詰めてミドルシュートを放つと、これがシュハイルに当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれていった。

後半になってもシリアのプレーにブレはなかった。守るだけではなくカウンターの意識も高く、攻守の切り替えが早い上、サポートの選手が常に縦に飛び出して行き連携を作り出す。60分にセットプレーから同点に追いつかれてしまったものの、その僅か3分後に左サイドをサバフが突破してクロスを入れ、ファーでJ・アル=フセインがヘディングで落とし、こぼれ球をまたA・アル=フセインがシュート。これもハウサウィに当たってコースが変わり、ゴールに決まった。攻撃が機能していたこと、そして約束事を徹底して行ったことがリードを守ることに繋がった。

終盤には相手の捨て身の反撃を受けたものの、GKのバルフスが素晴らしいセービングを連発し、失点を防いだ。特にロスタイムに入ったところで訪れたハザジのヘディングを防いだプレーは、まさに神が降りたとしか思えない人間慣れした反応だった。ピンチはあったが結果としてリードを守り切ることに成功し、強豪相手に大きな勝ち点3を奪取した。

サウジアラビアは決して特別悪かったとは言えない。プレビューで書いたとおり、これが昨今の彼らのサッカーである。ボールを回すことはできるが、ラストパスが雑でチャンスに結びつかず、結局最後は個人技や裏への飛び出ししか決め手がない。だとすればパスを回して時間をかけるのは完全に無駄で、逆に自分たちの使えるスペースを消してしまう筈なのだが、それをしてしまうのが現状のサウジアラビアだ。その傾向を完全に利用されれば、格下相手でもこのような結果になる可能性は高いというもの。まさに「なるべくしてなった」試合であった。

(筆:Qoly編集部 K)




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