Marseille
2
1-1
1-1
2
Monaco
ヴァルブエナ
アドリアーノ(OG)
42'
82'

得点者
15'
79'

ニクラエ
パク・チュヨン


試合の内容では、ホームのマルセイユが終始上回っていたといえる。今季開幕から結果が出ずに苦しんでいたものの、徐々にチームの中心となる選手たちのコンディションが上向いてきていることが見て取れる。この試合では縦横無尽にスペースに切れ込むヴァルブエナと、常に次の手を考えてポジションを取り続けるルチョ・ゴンサレスの動きが良く、モナコのルーズな守備に対して何度も決定機を作り上げていた。しかしこの試合を引き分けで終えてしまったのには2つの要因があげられる。

まず1つは、ジニャックが全くチームのシステムにフィットしていないこと。フランスリーグに詳しい方であれば承知の通り、彼はカウンター専門の点取り屋だ。スペースさえあれば、彼一人に対して相手が何人いようともシュートに持ち込みゴールをあげてくれるが、反面敵と味方が入り交じり動けるスペースを潰されると途端に強みを失う。強豪チームであるマルセイユにいる限り、彼の得意な状況に持ち込めることは極めて少ないのだ。

そして、もう1つはエインセが欠場中の最終ラインの不安定さだ。エウトンは比較的信頼に値するが、その後に控えるエムビア、若いレイティ・エンディアイはミスが多く安定感に欠ける。この試合でもエムボカニ一人に翻弄される場面が目立ち、2失点目はエムビアのクリアし損ねが原因となった。

ただ、その中で常に先行される厳しい状況の中、42分にはルチョ・ゴンサレスのフリーキックからヴァルブエナが強烈なシュートを決めて追いつき、終盤の猛攻で相手のオウンゴールを誘い同点に持ち込めたことは評価に値するだろう。エインセが復帰して守備が完成し、ジニャックが戦術に馴染む(あるいは見限られるか)ことが出来れば、再び強いマルセイユが戻ってくる可能性は高いだろう。

対するモナコは、もちろん「よくぞこの内容で引き分けられたものだ」というサッカーだった。フォーメーションを見れば、誰もが1番目に付くのはパク・チュヨンの左サイド起用。誰もが「比較的小柄なアスピリクエタにパク・チュヨンをぶつけて、ハイボールを放り込み基点を作るのではないか」と思うところだが、試合が始まってみればそんな狙いは皆無であった。では今までモナコの弱点としてあった「サイドハーフの守備の弱さを利用される」という部分の改善であったかと言えば、この試合でもサイドの守備は比較的ルーズなままであった。

ならば4枚のトップと考えてエムボカニを基点に周囲を動くのかと言えば、両ウイングはサイドに張りっぱなしで中との連携は乏しかったのだ。エムボカニは個人で何かをやりたがる選手であるため、シャドーのニクラエとのコンビネーションもほとんど見られなかった。 しかし、そのエムボカニの個人能力は素晴らしい威力を発揮した。先制点は彼が最前線でボールを収め、シュートに見せかけた鋭いスルーパスでニクラエのゴールを導いたもの。それだけでなく、カウンターの際にボールを持てば必ずキープ、突破を仕掛け、押されっぱなしになることを防いでいた。また、存在感を発揮できず苦しんでいたパク・チュヨンも、終盤にトップにポジションを移し、エムビアのミスを利用してゴールを奪い結果を出した。彼ら攻撃陣の個人の頑張りが、ぴりっとしないチームを助けたといえる。

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