Belgium
2
0-1
2-0
1
Bulgaria
ルポワン
コンパニ
89'
90+1'
得点者
31'

ポポフ

ツꀀ

ベルギー代表が、レーケンス政権の初陣となったブルガリア戦で劇的な逆転勝利を飾った。

今年4月、ディック・アドフォカートが突然辞任。ベルギーサッカー協会は、コルトライクを率いていたゲオルゲス・レーケンスを“かけ持ち”を認める形で新監督に招聘。2002年のW杯以降、国際舞台から遠ざかっているベルギーとしては、何としてもEURO2012に出場したいところだが、スタート時点で早くもつまづいてしまった印象を与えた。

だが、かつて代表チームを任された経験もあるレーケンスにかかる期待は大きい。近年、17歳の怪物、ロメル・ルカクを筆頭に、新たな才能が着実に台頭してきており、数年前までは「ひよっ子」と揶揄されることもあった、ドゥフール、デンベレら若手たちもクラブで実績と経験を積み重ね、20歳前半でも既に風格が出つつある。

彼らの潜在能力を引き上げ、“赤い悪魔”と恐れられた最盛期を再び作りだす。これがベルギー国民がレーケンスに求めている目標だ。

そして、レーケンスも就任直後から思い切ったアクションで悲願達成に挑戦する心構えを表した。ジレ、デスハフト、ファン・ブイテン、ブッフェルらベテランはそのままチームに残ったが、今季国内リーグで大きく成長した人材を積極的に登用。ヘンクのデ・ブルイネ、コルトライクのシマン、アンデルレヒトのルジャール、ヘントのルポワンらが代表に加わった。

そして、戦術面も大きく見直そうと試みている。この試合では、アドフォカート時代よりも攻撃的な4-3-3にシフトチェンジ。さらに、中盤にもブッフェルやドゥフールなど、前への意識を持った選手を起用。定着しつつあった、「ロングボール一辺倒」、「個人技に頼った単発攻撃」を一掃するべく、構造改革に着手したのだ。

試合自体は、開始から4分後、アザールが掴んだPKを自らものにしようとしたが、ブルガリアのキーパー、ミハイロフに完全に読まれてしまい先制ならず。その一つのミスでチームの勢いは削がれ、31分にポポフにゴールを奪われてからというものの、なかなか結果の出ない時間帯が続いた。

さすがにこの展開は、ここ数年間で勝者の感覚を忘れてしまっていたベルギー代表サポーター達の脳裏に「結局、ダメか・・・」と、負のイメージをもたらしたことだろう。

だが、“新星レッドデビルズ”は違った。89分、途中出場したルポワンのゴールで同点に追いつくと、後半ロスタイムにはコンパニが逆転弾を記録。土壇場で試合をひっくり返して見せたのだ。

これまでのベルギー代表から想像できない大逆転劇。

たかだか1試合目、そして、相手は決して強豪は言えないブルガリアであったが、この日の彼らに“何か”を感じた者は多かったはずだ。私は少なくとも“希望”とも呼べる“何か”を感じた者の一人だ。ここから2年間で彼らがどこまで飛躍するか。その可能性を「追い続けてみたい」と感じさせてくれる試合だった。


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