外国語を音の少ない日本語に翻訳する事情ゆえ、日本のサッカーファンの間ではよく話題になる発音。実は遠くイギリスの地でも同じように人々の頭を悩ませているらしい。今回はそんな名前の発音をめぐるあれこれをお届けする。


まずはイギリス人同士の名前。日本ではロシニア、ロシーニア、ローゼナイアーなどと呼ばれているレディング所属(イプスウィッチにレンタル中)のLiam Rosenior。イングランドでも発音は揺れているようで、ロセニア、ロスィーニア、ロザナイアーと多彩である。誰だったか忘れたがSkysportsの実況から「ロスィーニア」と呼ばれていたのは確かである。

個人的にどうも納得できないのは、本国では「クワーズィー」と発音される、ナイジェル・クワージーことNigel Quashie。どこをどう読めばzの音が出てくるのかわからないが、ともかく誰もがクワーズィーと呼ぶのだから仕方がない。

英語の実況を聞いていると、外国人選手の間でも扱いに差があることがわかる。フランス人選手はだいたいきちんと「アンリ」「ロベール」と呼ばれているのに対し(パスカル・シンボンダは「チンボンダ」と呼ばれているのだが)、オランダ人の名前は英語読み。だからエドウィン・ファン・デル・サールは「ヴァンダサー」、ロビン・ファン・ペルシーは「ヴァンパーズィー」である。

また、北欧の選手たちは昔よりも母国語の読みを尊重してもらえるようになったらしい。EURO1992の優勝メンバーであるヨン・イェンセンがアーセナルにいたころは「ジェンセン」と呼ばれていたのだが、そのしばらく後にチャールトンに来たクラウス・イェンセンは「イェンセン」になっていた。

西欧の人々にとっての最大の頭痛の種は東欧。なにしろ使われている文字からして、OやUの上にアレコレくっついていて、ウェールズ人曰く「モトリー・クルー(Motley Crue)みたいで奇妙」らしい。いや、モトリー・クルーの方が「かっこいいから」と東欧を真似たのだが。

インターナショナル・マッチウィークになるとイングランドの試合の裏でひっそりと、ウェールズvsアゼルバイジャン、北アイルランドvsグルジアなどが放送されていたりするのだが、Kvakhadze 、Tskitishvili、 Dvalishvili、 Khizanishvili、 Mchedlidze、 Devdarianiなどとグルジアのラインアップを並べられると、グルジア戦を実況するアナウンサーの苦労もよくわかる。他にもギリシャ人の名前に閉口し、「それでは次はオリンピアコスのスタメンです。私に神の御加護がありますように!!」と叫んだアナウンサーがいた。その昔ボルトンにいたスティリアノス・ヤナコプロスが「ステリオス」と略されたのはなによりアナウンサーにとって朗報だったに違いない。

発音となるといつも思い出すのはレスターにいたマッチョマン、アデ・アキンバイ。 Akinbiyiという名前にはコメンタリーも苦戦したらしく、「アキンバァイィィ」とひねり出された呼び方には力が抜けた。中村俊輔は最後まで「シュンスーキー」とロシア人のような呼び方をされていたが、見る側からしてみれば変な名前で呼ばれるのもネタとしては一興である。

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